改正男女雇用機会均等法(以下改正均等法)が平成19年4月1日から施行されました。今回の改正は均等法施行後20年を経た平成18年に成立したもので、均等法施行20周年にふさわしい大きな改正です。
今回の改正では、企業名公表の拡大や過料の創設等、違反に対するペナルティーも強化されています。それだけに、今まで以上に均等法遵守の人事労務管理が必要とされます。そこで、今回から10回に亘り、改正法の概要を実務上の視点を交えながらお話ししていきます。
改正均等法のポイントの第1は、性差別禁止の範囲の拡大です。具体的には ①男女双方に対する差別の禁止、 ②禁止される差別の追加、 ③間接差別の禁止 です。
今回は、均等法の法的性格の大きな転換となる①についてお話していきます。
従来、均等法の法的性格は女性差別を禁止する法律でしたが、今回の改正で性差別禁止法に法的性格を転換したと言えます。
その趣旨は、福祉的観点からの女性保護という考えを払拭し、労働者を職業上の能力のみで処遇するという点をより明確にすることにあります。また女性労働者の母性の尊重は改正均等法においても保障されており、改めてお話致しますが、この点に関する規制はより強化されています。 これらの点から考えると、女性労働者の処遇には、今まで以上に配慮が求められることになります。
しかし、男女双方に対する差別が明確に禁止されたことにより、今までは顕在化しなかった問題が生じることも考えられます。また、改正前は女性労働者にしか認められなかった紛争調停委員会による調停制度を男性労働者も利用することが可能になりました。未然に紛争を防止するためにも、社内の雇用管理を性差別に該当しないかという観点から、再チェックすることをお勧め致します。
次回は、禁止される差別の追加と改正均等法に基づく重要指針についてお話致します。